HONMEMO

読書備忘録です。

「聴く」ことの力/鷲田清一

臨床哲学試論

-ケアがケアでありうるのは、なんらかの目的や効果を勘定に入れない、つまりは意味を介しないで条件なしで「ともにいる」こと(…)のなかでであった。

すなわち、ホスピタリティという関係〜<なんの留保もなしに、「苦しむひと」がいるというただそれだけの理由で他者のもとにいること(無条件のコ・プレゼンス)>

論考はさらに。

 

 

 

親鸞と日本主義/中島岳志

親鸞の思想と、国体論、日本主義には、結びつきやすい思想構造が存在する。

すなわち、国体論の土台にある本居宣長国学は、漢意=計らい、自力であり、やまとこころ=大御心に随順すること=他力である、というように、浄土教真宗の影響を受けており、法然親鸞の思想構造が、国体論の思想構造を規定している。このため、親鸞の思想を探究する者は、他力を大御心に読み替えるなどして、国体論を受容していった。

そのような者として、三井甲之、蓑田胸喜倉田百三亀井勝一郎吉川英治暁烏敏

 

親鸞と日本主義 (新潮選書)

親鸞と日本主義 (新潮選書)

 

 

 

アメリカンドリームの終わり/ノーム・チョムスキー

感情的、陰謀論的、教条主義的言説で、分析もピンとこない。専門家ではないので当たり前か。格差を拡大する政治社会システムに対してお怒りなのはよくわかるけれど。

 

 

 

宗教国家アメリカの不思議な論理/森本あんり

-アメリカに土着化したキリスト教の福音は、富と成功〜勝ち組の論理

-この世の成功=神の祝福 幸福の正当化(幸福の神義論)

-苦難の神義論のないアメリカ人は負けを理解できない。

-反知性主義とは、権力と結びついた知性主義に対する反発

-リバイバル(信仰復興運動)の平等主義(学者パリサイ人批判)の伝統

-アメリカの政教分離は、宗教的熱情を確保するために定められたもの

-アメリカの選挙人制度はポピュリズムの弊害を回避するためだったが、機能不全を起こしている

-アメリカは連邦政府に信頼を置かない。国際機関ぎらいも同様の構造による

-アメリカの意志力崇拝は、建国自体が計画的意思によったことによる。過剰な意志力崇拝が反省なきポピュリズムを招き寄せる

-ポピュリズムは、宗教なき時代の代替宗教  善悪二元論に陥りやすく、市民に正統性の意識を抱かせ、匿名のまま正統性意識を堪能させる

-トランプ現象が成功の論理であるのに対し、ブレグジッドは失敗の後始末

 

 

 

 

 

謎の独立国家ソマリランド/高野秀行

「ムベンベ」から想像していたのよりずっとまともなルポで感心した。

 

 

 

言語が違えば、世界も違って見えるわけ/ガイ・ドイッチャー

言語は、認識や思考にどのように影響するのかをめぐっての探求の歴史。

グラッドストンホメロス研究!など、色彩認識と言語の関係、

言語のジェンダーと認識、

地理座標しか持たない(自己中心座標がない)グーグ・イミディル語と絶対方位感覚の獲得など。

 

言語が違えば、世界も違って見えるわけ

言語が違えば、世界も違って見えるわけ

 

 

 

戦争調査会/井上寿一

調査会自体がGHQにより中止させられているので仕方ない面もあるが、中途半端。