HONMEMO

読書備忘録です。

2013-09-28から1日間の記事一覧

つぶやき岩の秘密/新田次郎

なつかしいNHKの同名ドラマの原作者は、なんと新田次郎だったんだ。もうドラマの内容はすっかり忘れていたけれど、中島京子の解説によれば、NHK少年ドラマシリーズ屈指の名作と言われているらしい。「新潮少年文庫」の一冊として書き下ろされたものというこ…

「上から目線」の時代/冷泉彰彦

「上から目線」が問題とされる時代になったとか、価値観の多様化、困難な時代の中で会話のテンプレートが失われたとか、日本語の構造と上から目線の関係とか、私にはなんだか論旨がもう一つストンと了解されなくて、なんだか。 「上から目線」の時代 (講談社…

慶応三年生まれ 七人の旋毛曲り/坪内祐三

夏目漱石、宮武外骨、南方熊楠、幸田露伴、正岡子規、尾崎紅葉、斎藤緑雨*1の7人は慶応3年生まれ(翌年が明治元年)。豪華メンバーの歩みを、時代背景と共に描く。面白すぎ。日清戦争直前までで終わったのが残念。 子規の新聞小説「一日物語」の謎の女は、…

アーロン収容所/会田雄次

1962年初版のロングセラー。 ビルマ南部で終戦を迎え、英国軍の捕虜として収容所で2年にわたり強制労働の日々を送った記録。 イギリス人は士官と兵とで階級社会を反映した大きな違いが見られ、また、日本人を家畜同様にみている。いかな捕虜であるとはいえ、…

零戦/堀越二郎

1970年に書かれたものを「風立ちぬ」公開に合わせて復刊・文庫化したもの。 技術開発は、厳しい現実的な条件の中で、既成の考え方を打ち破る発想で、当然に考えられるぎりぎりの成果をどうやって一歩抜くかを考えることであり、零戦ほどそのような考え方が象…

世界を知る力 日本創生編/寺島実郎

3・11直後に書かれた「世界を知る力」の続編。親鸞の他力本願とは、3・11のような圧倒的現実に直面し人間の無力を自覚してはじめて腑に落ちるものであり、また自力でとことん努力を積み上げたうえで了解されるもの。今や痛烈な反省の意識をもって近代主義、…