HONMEMO

読書備忘録です。

学術・教養

日本人の勝算/デービッド・アトキンソン

人口減少が進む中で、経済成長を続けていくためには、生産性を上げるしかない。そのためには、最低賃金を継続的に引き上げ、人材育成トレーニングを強化し、所得を増やすとともに、企業規模を拡大して、高付加価値・高所得経済を目指すべきと。 最低賃金につ…

統計学が最強の学問である/西内啓

今更読むベストセラー。 素人にはやや難解なところもあるが、挑発的な文体も含めてなかなか面白い。エビデンスとして最も信頼できないものは、「専門家の意見」と「基礎実験の結果」だというのは、まさにまさに。 自分の頭で考えようとするときにこのような…

創造するということ/宇野重規・東浩紀・原研哉・堀江敏幸・稲葉振一郎・柴田元幸・中島義道

サブタイトルに続・中学生からの大学講義3とあり、桐光学園+ちくまプリマー新書編集部・編となっている。7人による講義録の体裁だが、5編の初出は「私がつくる物語」、2編は別々の本から取られていて、再編集されたものとある。大学講義1を見ればわかるのだ…

リバタリアニズム/渡辺靖

リバタリアニズム、自由至上主義は、公権力を極限まで排除し、自由の極大化を目指すもので、リバタリアンの思想的位相を示すものにノーラン・チャートがある。 本書で示された図がわかりやすいが、x軸に経済的自由を重視する、軽視するを、y軸に個人の自由を…

感情化する社会/大塚英志

感情化する社会とは、理性や合理でなく、感情の交換が社会を動かす唯一のエンジンとなる社会。 生前退位についての天皇の「お気持ち」表明と国民の圧倒的共感はまさにそれを示すもので、アダムスミスの言う中立的観察者を失っている。「お気持ち」は、天皇に…

桜の科学/勝木俊雄

サクラの不思議、`染井吉野' の真実、桜と日本文化の3章立て。 著者は、クマザクラを発見した森林総研の研究者。桜のやさしい植物学、分類学から桜にまつわる文化的なエピソードまで。桜に対する情熱がひしひしと。 オールカラー、多くの写真が美しい。 桜の…

朝日ぎらい/橘玲

朝日新聞購読層のような「リベラル」、世界標準のリベラル、保守、ネトウヨなど、政治思想と具体の政治スタンスの成り立ち、動向などをわかりやすく説明。リベラル化が世界的に進む中で、若者にそっぽをむかれる既得権益護持の(朝日的)「リベラル」の行く末…

誰も農業を知らない/有坪民雄

農業は多様。 遺伝子組換農作物の導入を進めるべき。 農薬は安全。 誰も農業を知らない: プロ農家だからわかる日本農業の未来 作者: 有坪民雄 出版社/メーカー: 原書房 発売日: 2018/12/12 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る

日本の同時代小説/斎藤美奈子

最近、小説に関心をなくしたので知らなかったが、大震災以降、純文学ではディストピア小説が流行していると。著者はその先を示せないことが純文学における読者離れの原因の一つと指摘する。確かにそんな小説読みたいと思わない。 小説は時代の子(時代の先を…

「農業を株式会社化する」という無理/内田樹・藤山浩・宇根豊・平川克美

4人による農業論。 内田樹の文章が表題作。 - 「農業を営利事業にした場合には、確実にモノカルチャーになる。」というが、低コスト単一品種大量生産を狙う企業の一方で、少量高付加価値を狙う企業が、多様性のニーズに応えていくのではないか? - グローバ…

リーダーを目指す人の心得/コリン・パウエル、トニー・コルツ

著者の経験から身を持って語る優れたリーダーシップ論。マイ・アメリカン・ジャーニーに続く自伝的要素もある。 大量破壊兵器を所有しているとしてイラク戦争に突入した「消せない過ち」についても率直に語っている。 今は講演を主たる業としているようだが…

こわいもの知らずの病理学講義/仲野徹

学術的内容を、一定の水準を維持しながらやさしく説明するのは難しいこと。本書は、もっとくだけた内容を想像していたが、なかなかに真面目な本で、勉強になりました。 こわいもの知らずの病理学講義 作者: 仲野徹 出版社/メーカー: 晶文社 発売日: 2017/09/…

平成精神史/片山杜秀

-平成は、災害や北朝鮮というリアルに対応不可能な事象に対して思考停止し、現実逃避、刹那主義に陥るニヒリズムが蔓延した時代。しかも、諦めてやりすごして何とかなるとう楽天的虚無主義。これは、永続するものという皇国イデオロギーにも関係している。し…

歌仙はすごい/辻原登・永田和宏・長谷川櫂

あられもないタイトルだが、 「歌仙はすごい」はすごい なんという豊かな「座」であることか。 歌仙は、この国の文芸の一つの極み。 歌仙はすごい-言葉がひらく「座」の世界 (中公新書) 作者: 辻原登,永田和宏,長谷川櫂 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売…

考える日本史/本郷和人

-戦国時代の同盟は全く守られなかった。他国の人間は信用できなかった。→秀吉以前の中世に日本という国家はなかったのではないか? -日本では、諸外国で見られたような大虐殺が見られない(信長除く)。穏やかで変化を好まない日本の背景には、多神教や世襲原…

あらためて教養とは/村上陽一郎

共感する点が多々ある。 こういう論旨に対しては、マンガを人前で読んで何を恥じなければならないというのか、老害のたわごとだ、みたいな(無教養な)反応が多いのではないだろうか。万人が教養ある人ではあり得ず、そういう人は今も昔も限られるのだろうが、…

崩れる政治を立て直す/牧原出

作動学。大事な視点だと思うが、具体的なあてはめが分かりにくいところがある。 崩れる政治を立て直す 21世紀の日本行政改革論 (講談社現代新書) 作者: 牧原出 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2018/09/19 メディア: 新書 この商品を含むブログ (2件) を見る

魂に息づく科学/リチャード・ドーキンス

サブタイトルは、ドーキンスの反ポピュリズム宣言とされているが、直訳すれば、情熱的合理主義者ドーキンス選集であり、雑文集。 ドーキンスの徹底した合理主義は、宗教に対する激しい攻撃はもとより、ブレグジットを生んだポピュリズム、疑似科学や一部のサ…

広重TOKYO/小池満紀子、池田芙美

A5サイズの比較的大きな、美しい図版で名所江戸百景が採録されているが、それでも、丁寧に解説されている雲母摺、空摺、布目摺、きめ出し、あてなぼかしといった技法は、はっきりとはわからない。 広重TOKYO 名所江戸百景 作者: 小池満紀子,池田芙美 出版社/…

幸福の増税論/井手英策

筆者は、2020年までの期間限定で政治をやるとして、旧民進党(前原誠司?)のブレーンとして活動もしているようだ。 本書の構想は興味深いのだが、日本人・社会の思考回路、心理構造を根底からひっくり返して、本書でいう頼りあえる社会を実現する道筋はなかな…

日本画とは何だったのか/古田亮

もう少し日本画に造詣が深いとより興味深く読めるのだろうが。 図版も結構多くて良いが、こういう本には索引が欲しい。 日本画とは何だったのか 近代日本画史論 (角川選書) 作者: 古田亮 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2018/01/26 メディア: 単行本 こ…

アドラー心理学入門/岸見一郎

アドラー心理学をもとにした処世術指南本といった趣 アドラー心理学入門―よりよい人間関係のために (ベスト新書) 作者: 岸見一郎 出版社/メーカー: ベストセラーズ 発売日: 1999/09/01 メディア: 新書 購入: 12人 クリック: 100回 この商品を含むブログ (31…

ポピュリズムとは何か/水島治郎

既存政党の政策が妥協の模索によって中庸によることによって選択肢を提供できなくなり、その中で、ポピュリズムは、置き去りにされたと感じる人々の声を吸い上げる。我が国で言えば、維新なのだが。 ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か (…

未来をはじめる/宇野重規

豊島岡女子中高生に対する著者の政治思想・哲学+αに関する特別授業。加藤陽子の「それでも日本は戦争を選んだ」と同様の仕立てで、様々なジャンルでこのような取組が行われるといいと思う。 本書に物足りなさを感じるところもあるのだが、これは、本書がま…

定年後/楠木新

読む本がなくなって止むを得ず読んだみたいなものなので特に文句もないが、つまらない。 定年後 - 50歳からの生き方、終わり方 (中公新書) 作者: 楠木新 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2017/04/19 メディア: 新書 この商品を含むブログ (14件) を見…

現代社会はどこに向かうか/見田宗介

明るく、ポジティブな、人類社会の現状分析と未来予測。経済成長なき定常社会は、生の合理化=現在の空疎化という圧力から解放され、無数の至福が一斉に開花する高原であると。 「軸の時代」が定常期たる原始時代から爆発期たる近代社会への変節期であるとす…

科学者はなぜ神を信じるのか/三田一郎

本書で紹介される超一流の物理学者が神をなぜ信じるのかという考え方の道筋、折合いの付け方、あるいは神からの影響の受け方は、様々に興味深い。 著者は、科学法則の創造者が神であるとの考えであり、宇宙のはじまりを、科学法則を誰が作ったかを突き詰めて…

ドストエフスキー 父殺しの文学/亀山郁夫

比較的最近読んだカラマーゾフの兄弟などはまだなんとかなるのだが、各テキストの要旨なども記載されているものの、結構厄介だった。 ここまでのめり込むような謎解きの作業は、学者の領分だろうと、理解力の及ばぬところを棚に上げておく。 ドストエフスキ…

大恐慌を駆け抜けた男 高橋是清/松元崇

高橋是清の自伝というより、明治維新から太平洋戦争に至るまでの日本を、財政、金融、税制の面から見たもの。この時期の歴史を扱う本は多いが、このような切り口はとても興味深く、なるほどと思わせるところが沢山あった。 大恐慌を駆け抜けた男 高橋是清 作…

1941 決意なき開戦/堀田江理

日本における真珠湾までの政策決定過程を、英語で米国人向けに書いたものの翻訳。 勝ち目がないと分かっていた戦争に突入してしまった「決意なき開戦」の原因は、日本の統治機構(システム)の欠陥(独裁とは逆の無責任体制)だけでなく、近衛をはじめとする当時…