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読書備忘録です。

スティル・ライフ/池澤夏樹

スティル・ライフ (中公文庫)

スティル・ライフ (中公文庫)

「ヤー・チャイカ」併録。この作者の本を読むのは、なんとはじめて。こういう「知らない」不幸もある。かつて芥川賞を受賞した作品であることは知っていたが、この本が世に出た頃は仕事が死ぬほど忙しかった。それに芥川賞系のいわゆる純ブンガク系作品は、嗜好が合わない場合にはゲッソリして精神衛生上よろしくないことになることも多いから、あまり多くは読んでいないからなぁ。
この本の良さを人に伝えるのは、私のような文才のない人間には難しい。空をふと見上げさせられたり、娘の行く末をちらと思わされたりする。巻末の須賀敦子の絶賛の解説も素晴らしい。須賀敦子もこれまで読んだことのない作家で、積読中の「ヴェネツィアの宿」を読むのが楽しみになった。
池澤夏樹のお父さんが福永武彦だってことを知ったのも割合に最近のこと。「廃市」「草の花」・・・懐かしいなぁ、といっても雰囲気だけしか覚えてないけど。いずれ読み返すこともあるかも。