極上のエンターテインメント小説。登場人物の皆が皆ボロボロになっていく。それでも何故だろう不快な物語ではない。著者が登場人物に対して不当な仕打ちをしているというようには感じられないからかな。
カスミ、内海の夢でいくつかの犯人像を提示しながら、結局、深い余韻を残して幕を閉じるところもいい。妙な連想だが、芥川「羅生門」のラスト(「ようとしてしれない」(だったか?))を思い起こさせた。
「グロテスク」などこの後発表された小説も評判がいいようで、どのような高みに上っているのか、楽しみだ。
- 作者: 桐野夏生
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2004/12
- メディア: 文庫
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