ちょいと期待しているところと違った。本書解説の陳舜臣とか宮城谷昌光、あるいは吉川三国志のようなイメージをもって読んだのだが。中国歴史ロマンということで括れば同カテゴリーなのだが、どこが違うのか、あるいは私にとって不満なのか。一つは、文体、特に西太后らのセリフ回しがプリズンホテル節で違和感があったこと。ちょっと下卑た感じのユーモアは浅田の魅力だけど、このストーリーには合わないように思う。もう一つは、結局のところ、登場人物たちの個人的な親子愛、兄弟愛、友情というところがメインとなっているところ(主人公たち中心人物が架空の人物なのだから当然か?)。
天命を具現するものとして龍玉(ダイヤモンド)を持ち出すというのは浅田らしいが、私の好みではない。
陳舜臣の解説は、最初に破天荒な小説だと評した後、李鴻章の描写をほめたほかは、ほとんど本書の評と関係のない話で愉快。
- 作者: 浅田次郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/10/15
- メディア: 文庫
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