初めて読む人気作家。鉄工所のおっさん川谷、銀行のOLみどり、ちんぴら和也無関係の3人それぞれが抱えるトラブルが深まり、ブチ切れるゾという臨界点で3人が出会い、最悪の訳のわからない混乱状態に陥る。
町工場の日常、川谷の人柄などの描き方に特に感心したが、外資系商社マン太田なんか仇役の描き方など含めて、うまいと思う。引き込まれてしまう。
柴田老人は、みどりの悲劇の引立て役だが、違う役を与えて欲しかったなと思ってしまう。いい人に描かれているだけに可哀想だ。この物語の最終場面(警察の登場場面)は、ご都合主義という感じがしてしまうのだが、最悪の状況の中で救いのある結果にするにはこういうことしかないのかなとも思う。一方で、違う物語の作り方もあったのではないのかなと思ってしまう。まあそれは囲碁で言えば、それも一局ということに過ぎないのだろうとは思うのだが。
この作者の他の作品も読んでいきたいと思う。
- 作者: 奥田英朗
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/09/13
- メディア: 文庫
- 購入: 12人 クリック: 198回
- この商品を含むブログ (185件) を見る