HONMEMO

読書備忘録です。

邪魔/奥田英朗

 「最悪」と同系列の作品。甲乙つけ難い。小市民の心情を書くのがうまいと思う。解説に、恭子を捉えて、「ある種爽快に道を間違えていく主婦」とあるのだが、「爽快に」というのが言い得て妙だ。悲劇的結末でありながら、全体として重苦しさをそれ程感じないのは、チンピラ高校生裕輔やヤクザ達がなんとなくユーモラスに書かれていることもあるのかもしれない。恭子と刑事九野それぞれのその後も気になる。

邪魔(上) (講談社文庫)

邪魔(上) (講談社文庫)