不思議な掌官能小説8篇。やはり言葉の選び方なんかはうまいなと思う。芥川賞作家ってのは、いろいろ言われても、この点では優れている人(作品)が多いと思う。「百年」とか「無明」などは、漱石「夢十夜」の第何夜だったか、ゆりの花が咲く印象的な物語を連想させる。ゆるゆる、のらりくらり、主体性なく逃げるシュジンコウ。川上弘美は、芥川賞受賞作「蛇を踏む」や「消える」などを収めた文庫を読んで以来になるが、やはりいいなと思う。種村季弘の解説もいい。
- 作者: 川上弘美
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2002/09
- メディア: 文庫
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