73年の質屋主人殺人事件の被害者の息子亮司と質屋の顧客だった女の娘雪穂の周辺で20年にわたって起こる数々の殺人事件、婦女暴行事件・・・。亮司は闇に、雪穂は華やかな世界に生きるようになる。亮司と雪穂の関係が直接的には語られないので、様々な想像が可能だが、ラスト数行からすると、雪穂は、一滴の血も通わない人の心を失った化物だった(その原因がなんであれ)ということなのだろうか。それとも、この物語が終わった後、雪穂は、夜を照らす太陽に代わるものを失って、これまで夜を照らしてきた光を思い、涙するのだろうか。
この作者の作品はこれまで3作読んだが、「放課後」はつまらなく、「秘密」はプロットはおもしろいもののあんまりだという感じ、「悪意」はなかなかいいとは思ったが内容を思い出せない(汗)ということで、全体としてはもう一つというイメージだったのだが、この作品は、構成のよく練られた素晴らしい作品だと思う。
文庫本は、いつでもどこでも手軽に読めるってのがいいところなんだからサ、400ページ位までの厚さが限界。この本なんか2、3分冊に分けてくれないと読みにくくって仕方がない。京極夏彦なんか、そのせいで読む気がしない(薄めの2冊は読んだけど)。
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2002/05/17
- メディア: 文庫
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