HONMEMO

読書備忘録です。

血と骨/梁石日

 梁石日の父をモデルとしたという金俊平という男・・・ケダモノ、非道、鬼畜など、どのような言い方をしても表現しきれない。この剥き出しの暴力とエゴの恐怖、理不尽、不条理は、この本を通読して震え、吐き気を催すことで初めて実感されるのではないか。ビートたけし主演の映画*1が話題となったが、R-15指定という中途半端な規制ではとても描ききれないだろう。見ていないので何とも言えないけれど、もはやあまり見たいとは思わない。本書を再読したいとも思わない。在日朝鮮人の最底辺の極貧の暮らしが背景として描かれるが、これは「在日文学*2」ではない。金俊平の物語だ。
 ゆるいお話が多い中、強烈なインパクトを持つ山本周五郎賞受賞作。あ〜あ、どっと疲れた。

血と骨〈上〉 (幻冬舎文庫)

血と骨〈上〉 (幻冬舎文庫)

*1:asin:B0007CYVK6

*2:在日文学なんて言葉があるってのは解説で初めて知った