梁石日の父をモデルとしたという金俊平という男・・・ケダモノ、非道、鬼畜など、どのような言い方をしても表現しきれない。この剥き出しの暴力とエゴの恐怖、理不尽、不条理は、この本を通読して震え、吐き気を催すことで初めて実感されるのではないか。ビートたけし主演の映画*1が話題となったが、R-15指定という中途半端な規制ではとても描ききれないだろう。見ていないので何とも言えないけれど、もはやあまり見たいとは思わない。本書を再読したいとも思わない。在日朝鮮人の最底辺の極貧の暮らしが背景として描かれるが、これは「在日文学*2」ではない。金俊平の物語だ。
ゆるいお話が多い中、強烈なインパクトを持つ山本周五郎賞受賞作。あ〜あ、どっと疲れた。
- 作者: 梁石日
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2001/04
- メディア: 文庫
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