HONMEMO

読書備忘録です。

自民党新憲法草案

 先頃自民党の憲法草案が公表されたけれど、中味についての議論は別として、この自民党憲法草案の前文の格調の低さは何とかならんのかと思う。現行憲法は英語からの翻訳だけれど、現行憲法の方がまだしもと感じられる。例えば、草案の第2パラ

 象徴天皇制は、これを維持する。また、国民主権と民主主義、自由主義基本的人権の尊重及び平和主義と国際協調主義の基本原則は、不変の価値として継承する。

 盛り込むべき内容を示すに留まる「骨子」の文章ならこれでいいかもしれないが、「維持する」とか「継承する」とか裸でポンと使っては何のことやらわからん。象徴天皇制ってなんなのさってのは各条をご参照下さいということですかね。前文は、何故象徴天皇制にするのかってなことを書くんじゃないのかね。
 また現憲法の前文末が、

 日本国民は、国家の名誉をかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

と高らかにうたう*1のに対し、草案前文の末尾は、

 日本国民は、自然との共生を信条に、自国のみならずかけがえのない地球の環境を守るため、力を尽くす。

と尻切れトンボだ。前文に規範性はないのだから何でもいいという観点だってあるのであり、こんなクズのような前文なんかないほうがマシだ。
 読書とは全く関係のない話。憲法草案のリンクを張っておこうと思っただけなのだが。

*1:崇高な理想の達成をうたうのが良いかどうかという中味の話ではなく、少なくとも憲法制定の宣言文として相応しい格調であると思える。