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読書備忘録です。

上司は思いつきでものを言う/橋本治

 橋本治の新刊「乱世を生きる〜」を手にとったところ、『「分らない」という方法』、本書を含めての3部作完結篇(のようなもの)と書いてあったので、同書を読む前にと思い、ブックオフにて105円にて購入して読む。タイトルからはビジネス本・ハウトゥー本みたいだが、日本社会論、日本人論といった方が良かろう。
 なぜ上司は思いつきでものを言うのか、それへの対処法は?(=呆れろ)という前半の議論も面白いのだが、後半、この議論が、わが国では儒教による立場固定主義が根強く、民主主義(=能力主義)を日本人は消化できていないという議論へと展開し、最後は「なぜ日本は「世界一」から転落したのか」「なぜ日本が国際競技で優勝するとそのルールが変えられてしまうのか」という問題設定がされ、これは、詰まるところ国際社会(=上司)が思いつきでものを言っているようなものであり、日本はもっと呆れてよい、もう少し「日本オリジナル」を考えてよいという議論に繋がっていく・・・このように書くとハチャメチャだな。でも、もっとしっかりした論理が展開されていてなるほどと思わせるものがある。「乱世を生きる〜」も楽しみ。

上司は思いつきでものを言う (集英社新書)

上司は思いつきでものを言う (集英社新書)