HONMEMO

読書備忘録です。

ああ、顔文不一致/勢古浩爾

 饒舌調の文章にのせられてわははと笑いつつ、形而下の顔は形而上の文(心)に規定されるってなお話とか、まあそりゃそうだわなではあるのだが、それでもなかなか面白く読む。ちょっと話がいろいろ拡散しすぎな気もするが。
 文学者の顔と文についての話がやはりなかなか面白い。乙川優三郎など、顔との関係というより「書評」として面白いものもある(渡辺淳一なんかは、ただのスケベと叩いて、ついでに顔の話をしている感じ)。一方、村上春樹(丸顔の寺尾聡らしい)なども例にあげて、文学者は、いわばその作品が「顔」であるがゆえに、自分の顔に執着をしていないようにみえるとか。
 教訓話風でもあるのだけれど、著者の話術で楽しく読める。見た目話ということで言えば、最近読んだ竹内一郎「人は見た目が9割」*1よりは百倍面白い。

ああ、顔文不一致 (新書y)

ああ、顔文不一致 (新書y)

*1:この本、文芸春秋で日垣隆が誉めてたけどね。