私は、この小説の意図する所なり良さを人に説明するだけの能力を持ち合わせていないけれど、芥川賞の候補となるだけのものではあるのだろうと思う。
冒頭の強烈なゲロ話自体もさることながら、その文章も
さらに馬鹿をきわだてているのは、客席に、パラパラと歯抜けな感じで座っているグレートーンな男たちにとって、本日のメインイベントというものが、ヤニと年季でドス黒く荒んだ別珍の緞帳の前で、この、手足に薄く静脈が浮くほどに色白で贅肉のない身体が、そこそこ映えているはずの28歳バツイチ女ではなく、その、片手に握りしめたコップの中でドロドロとあぶくを立てて揺れている不穏な液体であることだ。
と、どこが主語か述語だか分らんようなハチャメチャな形で始まって、最初は一体どうなるのかと思ったのだけれども、ちょっと考えさせる、なかなかのお話だと思う。
- 作者: 松尾スズキ
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/12
- メディア: 単行本
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