久しぶりの村上春樹。やはりいい。私にとっての村上春樹は、「風の歌を聴け」から「1973年のピンボール」、「羊をめぐる冒険」までが最も鮮烈で、バブル期ちょい前という学生時代と重なる。今また何となくバブリーな雰囲気も漂うようになっているのだけれど、そんな気分に村上春樹は相応しい(私にとっては)。村上春樹は「アンダーグラウンド」ではなくて、(超絶技巧の比喩なんかも含めて)ちょっと洒落た不思議な世界にいざなう本書のような比較的短い作品が一番性に合う。
年末に、内田樹がブログで、松浦寿輝による本書の批評に対する批評みたいなことを書いていた。松浦が「詐欺」といった結構強い言葉を使って、村上春樹の文章は日本近代文学とのしがらみみたいなものが感じられないといったことを毎日新聞か何かで批評していたらしいのだが、内田がこれに対して、村上春樹の文学が世界的に通用するものであるということであって何が悪いのかみたいな、内田センセにしてはあらま結構感情的じゃんみたいな評で面白かった。(うろ覚えで書いているので、正確には内田樹先生のブログをご参照のこと。)
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/09/15
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