HONMEMO

読書備忘録です。

神様/川上弘美

 デビュー作「神様」を含む掌小説9編。先頃亡くなった久世光彦が選考委員の時のドゥマゴ文学賞*1受賞。久世光彦の選評はこちら。「春立つ」のカナエさんがくるくるまるめられたりするところで、久世の「一九三四年冬―乱歩」の梔子姫を思い出した・・・ちとずれてるか。
 宮本輝は、川上弘美芥川賞受賞に際して、「しょせん寓話」「評価しない」と切り捨てたらしい*2。「蛇を踏む」までしょせん寓話と言われてしまうのは相当きついんじゃないかと思うけれど*3、本書に含まれる短編の中には(「しょせん寓話」という言い方が当たるのかどうかはよく分らないけれど)、ちょっとメルヘンメルヘンしすぎてるかなと思ってしまうものもある。

神様 (中公文庫)

神様 (中公文庫)


105円@ブックオフ

*1:[http://www.bunkamura.co.jp/bungakushou/index.html:title]

*2:[http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20051003bk01.htm:title=川上弘美による宮本輝「にぎやかな天地」評@本よみうり堂]

*3:宮本にしてみると安部公房カフカなんかも所詮寓話なのだろうか。