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読書備忘録です。

安心社会から信頼社会へ/山岸俊男

 糸井重里による「最大の戦略とは、正直であること?!いずれ来る社会への大きなヒントが」という帯。糸井重里らしく内容とちょっとずらしたキャッチーな言葉だが、本書は、最大の利益を得るための最良の戦略は正直であることだといっているものではない。集団主義的な「日本型システム」が変容し、社会的不確実性が増大する中で、そのような新しい環境に適用するために必要な社会的条件は何か、ということを探ろうとした本。結局のところは、情報公開の必要性といった話になるのだけれど、この本は、そういう結論を述べる最終章より、社会心理学的実験結果そのものの方が面白い*1


798円@都心の大規模書店

*1:日本社会の現状分析とか、処方箋といった部分にもっと期待していたのだが、この本の趣旨とはやや違うのだろう。佐藤俊樹「不平等社会日本」に感じたのと同じような肩透かし感を感じる。