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読書備忘録です。

情と理〜カミソリ後藤田回想録/後藤田正晴・御厨貴

 後藤田正晴といえば、私にとっては政治家というより官僚の中の官僚というイメージ。昭和〜平成の政治・社会史を概観したという感じ。共産化しておかしくなかったという60年安保、70年安保・浅間山荘事件等を警察官僚として対処、田中内閣で官房副長官、その後政界入りして中曽根内閣官房長官などを歴任、田中角栄氏らからの信頼も厚かった。政治改革、行政改革などにも手腕を発揮した。自衛隊の海外派遣や憲法9条改正には慎重だった。本書には、宮澤喜一河野洋平と考え方が近いという述懐もあって、そんなものかと思ったり。
 オーラルヒストリーというらしいが、口述筆記をもとにした自伝とどう違うのかもうひとつ良くわからないけれど、よく整理された水準の高い回想録になっているのではないかと思う。

情と理 -カミソリ参謀回顧録- 上 (講談社+α文庫)

情と理 -カミソリ参謀回顧録- 上 (講談社+α文庫)


880円×2@都心の本屋さん