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読書備忘録です。

小春日和(インディアン・サマー)/金井美恵子

小春日和というには季節が早いのだけれど、先週末抜けるような青空の下を散歩している時に「小春日和」というタイトルが目に飛び込んできたという感じで、思わず購入した。
この作家もはじめて読んだのだが、うひゃひゃひゃという感じで楽しめた。主人公の桃子と友人の花子(本名は亜理沙だっていうシーンは笑える。特に沙は沙悟浄の沙っていうので吹き出してしまった。*1)がなかなかいい。解説の斎藤美奈子の言う「若い女の子の元気なおしゃべり文体」が楽しいのだ。著者は、あとがきで、この小説を、少女小説としての要素をいくつか欠いているけれども少女小説として書いたという旨を述べているのだが、この点についての斎藤美奈子の解説はなるほどなと思わせるものがある。
また、著者と思しき「おばさん」の書いた小説・エッセイがいくつか挿入されているのだけれど、これがまたかなり学術的な固い文体のものからおきらくエッセーまでバラエティがあって、活躍の幅を見せつけられているよう。
なかなか過激なというか毒舌調のところもあって、著者は散歩中か何かに目白の川村学園の生徒に卵をぶっつけられたりしないのかしらんと詰まらぬ心配もしたくなる。


672円@往来堂

*1:どうでもいいけど、最近の名前を見ていると、悠仁さまの結婚相手が亜理沙さまなんてことになりかねんよな。