昭和20年代から平成8年までの教科書1500冊余から編んだ詩歌集。「教科書で」ということだけで引いてしまうが、私のような素人の入門書としてはなかなかいいのではないかと思う。秋の百冊フェアだかで平積みされているのをパラパラめくっていて、タイトルだけ知っていた谷川俊太郎の「20億光年の孤独」に引き込まれてしまって、購入。
いいなと思ったもののフレーズだけメモしておく*1。
- ぼろぼろな駝鳥/高村光太郎 (駝鳥の目は遠くばかり見てゐるぢやないか)
- レモン哀歌/高村光太郎 (がりりと噛んだ/トパアズ色の香気がたつ)
- 冬が来た/高村光太郎 (僕は冬の力、冬は僕の餌食だ)
- 天/高見順 (静かに熟れてゆく果実がある/おお その果実の周囲は既に天に属している)
- 汽車にのって/丸山薫 (汽車にのって/あいるらんどのやうな田舎へ行かう)
- 竹/萩原朔太郎 (地上にするどく竹が生え、/まつしぐらに竹が生え)
- 雪/三好達治 (太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。)
- 揚げ雲雀/三好達治 (雲雀の井戸は天にある・・・あれあれ)
- 二十億光年の孤独/谷川俊太郎 (人類は小さな球の上で/眠り起きそして働き/ときどき火星に仲間を欲しがったりする)
- 虫の夢/大岡信 (植物にきよらかなあまい水を送つてゐるのは/にんげんではなく/くろくしめつた 味のない/土であることを)
- 雑草/北川冬彦 (そして見栄えはしなくとも/豊かな花をどつさり咲かせることだ)
- 夕焼け/吉野弘 (やさしい心の持主は/いつでもどこでも/われにもあらず受難者となる)
- 表札/石垣りん (ハタから表札をかけられてはならない/石垣りん/それでよい)
- 富士/金子光晴 (息子のゐないうつろな空に/なんだ。糞面白くもない/あらひざらした浴衣のような/富士。)
- 君死にたまふこと勿れ/与謝野晶子 (すめらみことは戦ひに/おほみづからは出でまさね)
- 自分の感受性くらい/茨木のり子 (ばかものよ)
- せきをしてもひとり/尾崎放哉
- うしろすがたのしぐれてゆくか/種田山頭火
- 作者: 文芸春秋,文春=
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/05
- メディア: 文庫
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530円/都心の本屋さん
*1:詩、特に俳句なんか著作権管理が難しそうだな。尾崎放哉の俳句なんか9文字しかないけれど、仮に著作権が切れていなければ、全文引用だし、営利目的ではないにせよ問題になりうるのだろうか。