表題作のほか、「三浦右衛門の最後」、「藤十郎の恋」、「形」、「名君」、「蘭学事始」、「入れ札」、「俊寛」、「頚縊り上人」。
「恩讐の彼方に」は、子供の頃、子供向けの文学全集みたいなものを借りて読んだ記憶がある。それ以外ははじめて読んだ。人間不信の引き起こす悲劇「忠直卿行状記」、アイロニックな中にユーモラスでもある「三浦右衛門の最後」、「頚縊り上人」など、それぞれに面白かった。
解説によると、菊池寛は、小説にはテーマ(主題)がなくてはならないと主張、人生のための文学しか意中になかったといい、芥川龍之介と美と善について論じ合った時、「善の方が大事だ」と言い切ったという。本書を読むと、確かにそういう考え方がでているなと思う一方、説教臭い訳でもなくて、長きにわたって読み継がれてしかるべきと思わせるものがある。
「俊寛」は、平家物語、芥川のものもどう書かれているのか、読んでみたい。
- 作者: 菊池寛
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1970/12
- メディア: 文庫
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