HONMEMO

読書備忘録です。

最終戦総論・戦争史大観/石原莞爾

数年前に福田和也の「地ひらく」を読んで、いずれは読んでみようと思っていた本。
ものずごく乱暴に単純化して言うと、世界の歴史は決戦戦争と持久戦争を繰り返してきたが、30年後くらいには(1970年頃)、日米(東亜と米州の2大ブロック)間で巨大な破壊力を持つ兵器による最終決戦戦争が戦われ、これにより世界が統一され、世界平和が訪れるというもの。

  • 最終戦争とはどのような戦争か。

飛行機は無着陸で世界をクルグル廻る。しかも破壊兵器は最も新鋭なもの、例えば今日戦争になって次の朝、夜が明けて見ると敵国の首府や主要都市は徹底的に破壊されている。その代り大阪も、東京も、北京も、上海も、廃墟になっておりましょう。(略)それぐらいの破壊力のものであろうと思います。(略)このような決戦兵器を創造して、この惨状にどこまでも堪え得る者が最後の優者であります。
(中略)
……その戦争は長くは続きません。(略)そうして天皇が世界の天皇で在らせらるべきものか、アメリカの大統領が世界を統制すべきものかという人類の最も重大な運命が決定するであろうと思うのであります。即ち東洋の王道と西洋の覇道の、いずれが世界統一の指導原理たるべきかが決定するのであります。

  • 世界の天皇と日本

悠久の昔から東方道義の道統を伝持遊ばされた天皇が、間もなく東亜連盟の盟主、次いで世界の天皇と仰がれることは、われわれの堅い信仰であります。今日、特に日本人に注意して頂きたいのは、日本の国力が増進するにつれ、国民は特に謙譲の徳を守り、最大の犠牲を甘受して、東亜諸民族が心から天皇の御位置を信仰するに至ることを妨げぬよう心掛けねばならぬことであります。天皇が東亜諸民族から盟主と仰がれる日こそ、即ち東亜連盟が真に完成した日であります。しかし八紘一宇の御精神を拝すれば、天皇が東亜連盟の盟主、世界の天皇と仰がれるに至っても日本国は盟主ではありません。

解説は五百旗頭真防衛大学校長。


350円@ブックオフ