丁寧な注と現代語訳と各条ごとの「こころ」、解説など、初心者にも良く分かる構成となっている。梅原猛の解説が熱い。
思え。ここに一人の僧がある。年は四十を超えた血気ざかり、流罪帰りであり、現代でいえば、ムショ帰りである。しかもその僧は、妻を連れ、子を連れているばかりか、それを恥とも思わず、肉食妻帯を公然と主張しているではないか。しかもその口から出てくる言葉は激烈きわまる言葉なのである。従来の神仏を信ずるな、日月方角の吉凶にとらわれるな、親の追善供養をするな、一切の雑行をやめてひたすら阿弥陀仏を信じて念仏をせよ。
私はこの奇怪なる説法者に初めて会った東国の人々の驚きはどんなであったろうかと思う。とんでもない男というのがその最初の印象であろう。しかし間もなく人々は、この破戒無残な説法者の中に、驚くべき純粋な信仰が隠れていることを見出したであろう。
一回さらっと読んで、そういうものかと真に納得のいくものでもなかろう。またいずれ読み直そうかと思う。
- 作者: 梅原猛
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