禁じられること、絶対に不可能であることによって燃え上がる恋。明治・大正時代の貴族社会を背景とした美しい悲恋物語。豊饒の海4巻全体として輪廻転生の物語となるらしいのだが、その主題はまだ始まりのところで終わるのだけれど、この「春の雪」だけできっちりと完結した素晴らしい物語だ。
『優雅というものは禁を犯すものだ、それも至高の禁を。』と彼は考えた。(略)
『今こそ僕は聡子に恋している。』
この感情の正しさと確実さを証明するには、ただそれが絶対不可能なものになったというだけで十分だった。
『…命を賭けなくてはあの人に会えないという思いが、あの人を美の絶頂へ押し上げるだろう。そのためにこそ僕はここまで来たのだ』
- 作者: 三島由紀夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
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