靖国問題は、首相が代わって参拝の仕方(というか公表の仕方)をちょいと工夫したからといって何ら解決されたものでないのはもちろんのことだ。いま中国・韓国が静かならいいってなものじゃないわな。ということで、比較的静かなときに、このような本を読むのもよいかと思って。
本書は、極めて論理的に、丁寧に、わかり易く、問題点を整理し、あるべき方向を提示していて、すっきりした。
「国立追悼施設」が新たな戦死者の受け皿にならない必要条件とは何か。それは、(略)具体的に言えば、国家が「不戦の誓い」を現実化して、戦争に備える軍事力を実質的に放棄することである。また、「不戦の誓い」が説得力をもつためには、「過去の戦争」についての国家責任をきちんと果たすことが必要である。
なんてところに行きつくから、ちょい右からいろいろ言われるだろうけれど*1、国家による戦死者顕彰施設をつくらないという観点からは論理的にそうなるだろう。本書が優れた議論の素材となるものであることは間違いない。
- 作者: 高橋哲哉
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2005/04
- メディア: 新書
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350円@BO
*1:日本の国際平和活動などで死んだ人を顕彰すべきだと考える人に受けれられないのは当然。