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読書備忘録です。

女王陛下のユリシーズ号/アリステア・マクリーン

数年前から読もうとチェックしていた作品なのだが、比較的最近「スゴ本」に取り上げられたこともあって、そそくさと読んでみた。
翻訳ものにありがちな読みにくさがあって前半は結構苦労するし、人物の背景が丁寧に描かれているわけではないので、感情移入して読むという感じでもない*1
戦闘の描写には迫力があり、スリリングではあるけれど、輸送船団の護送を目的とする作戦なので仕方がないのだが、守勢一方の、言ってみればやられっぱなしのマゾヒスティックな展開で、冒険小説が通常与えるようなカタルシスを感じることもあまりない。自己犠牲のヒューマニティに救われはするけれど、これもありがちなエピソードだなという感じがする。
それぞれちょいとディメンジョンが違うけれど、ノンフィクション「エンデュアランス号漂流」、映画「眼下の敵」などに比ぶべきもない。いや、つまらんということではないのだが。

女王陛下のユリシーズ号 (ハヤカワ文庫 NV (7))

女王陛下のユリシーズ号 (ハヤカワ文庫 NV (7))


450円@BO

*1:亡国のイージス」の面白さは、いかに荒唐無稽であっても、人物にのめり込んでしまうところにあるのだななどと思い。