HONMEMO

読書備忘録です。

杳子・妻隠/古井由吉

巨星と目されるような日本の作家は、結構読んできているつもりだけれど*1、読んでない作家もまだまだいるのだよな。大江健三郎も読んでないし(うへ)。
今日は、古井由吉を初めて読む。現役作家の中で今一番エライというイメージ*2を勝手に持っているのだが、文学の醍醐味を味わったという満足感のある一冊だった(私なんかにホントに分かっているのかという問題はあるのだが)。
神経症の女子大生杳子と、やはりノイローゼの経験のある彼(S)が谷底で不思議な出会いをしてから、夕映えの杳子の部屋で、杳子が「ああ、美しい。今があたしの頂点みたい」とつぶやくラストまで、ヒリヒリするような関係がすごくリアルだ。

杳子・妻隠(つまごみ) (新潮文庫)

杳子・妻隠(つまごみ) (新潮文庫)


250円@BO

*1:って、とりあえず1冊はという意味で。

*2:文壇という意味では丸谷才一かな。