第一次大戦後ハプスブルク家が崩壊し、最後の皇女エリザベートは社民党に入党、「赤い皇女」と呼ばれ、その幹部ペツネックと結婚、そして…という波乱の生涯を描く。
ペツネックとの結婚に至る辺りまでの物語はエリザベートの奔放な恋物語などもあって面白いのだが、ナチスによる併合から赤軍の進駐、独立の回復といった後半の物語は、オーストリアを中心とした中欧の激動の歴史物語としてはすごく面白いけれど、主人公の影が薄くて*1つまらない。歴史の記述の部分が多すぎるというか。例えば、エリザベートだけがなぜ強制収容所に送られず、ウィーンで過ごすことができたのかといった、エリザベートにひきつけた歴史が検証されていると面白いのにと思う*2。
解説対談と称する丸谷才一と山崎正和による、なんでしょね、つまらないオマケ付き。
大宅壮一ノンフィクション賞受賞
- 作者: 塚本哲也
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2003/06
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