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読書備忘録です。

エリザベート/塚本哲也

第一次大戦後ハプスブルク家が崩壊し、最後の皇女エリザベート社民党に入党、「赤い皇女」と呼ばれ、その幹部ペツネックと結婚、そして…という波乱の生涯を描く。
ペツネックとの結婚に至る辺りまでの物語はエリザベートの奔放な恋物語などもあって面白いのだが、ナチスによる併合から赤軍の進駐、独立の回復といった後半の物語は、オーストリアを中心とした中欧の激動の歴史物語としてはすごく面白いけれど、主人公の影が薄くて*1つまらない。歴史の記述の部分が多すぎるというか。例えば、エリザベートだけがなぜ強制収容所に送られず、ウィーンで過ごすことができたのかといった、エリザベートにひきつけた歴史が検証されていると面白いのにと思う*2
解説対談と称する丸谷才一山崎正和による、なんでしょね、つまらないオマケ付き。
大宅壮一ノンフィクション賞受賞

エリザベート〈上〉―ハプスブルク家最後の皇女 (文春文庫)

エリザベート〈上〉―ハプスブルク家最後の皇女 (文春文庫)


200円×2@BO

*1:政治家でもないのだからあたりまえといえばそうだろうけど。

*2:事故死した息子がナチス党員だったからかもしれないということがちらと書かれているだけ。