HONMEMO

読書備忘録です。

駅前旅館/井伏鱒二

むしろ正月にほのぼの読む福笑小説のような。映画にもなってたはずだが、換骨奪胎してるだろうな…正月にDVDで見てみようか。
河上徹太郎池内紀の豪華解説2本付き。それぞれの解説から。

元来井伏氏の小説は、この種の古風な小市民生活の裏にある情実や人情を小憎らしいほど鮮明に描き出す所に無類の味があるのだが、この鮮明さはいわゆるリアリズムによるものではなく、いわば現実の急所を擽ってキャッといってとび上がらせるような手口のうまさがある。(河上)

現実の〔駅前旅館の〕おおかたが姿を消した今、井伏鱒二の『駅前旅館』は文学になった。ようやくはじめてその全貌がうかがえる。なんとみごとに、そして委細をつくしてフシギの王国が書きとめてあることだろう。その生態、言語、風土、エチケット、恋愛、謀み、財務、立法―。(池内)

駅前旅館 (新潮文庫)

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420円@近所の本屋さん