学生時代、書棚に丸山真男「現代政治の思想と行動」があった。推薦書として名前があって購入したものの、きちんと読んだ記憶はない(「日本の思想」すらつい最近読んだのだ…)。当時本書のようなものを読んでいれば、ちゃんと読んだかも。丸山真男の伝記としても読めるし、現代政治思想入門書としても読めるしっかりした本(文章もなかなかの美文)。
本書のあとがきから。
いったいいつから、批判するとかのりこえるとか、精神を継承するとかしないとか、剣呑な言葉でしか、過去の思想は語られなくなってしまったのだろう。どんな人であっても、ひとりの人間が深くものを考え、語った営みは、そんなに簡単にまつりあげたり、限界を論じたりできるほど、安っぽいものではないはずなのに。
この本でこころみたのは、丸山眞男という稀有な知性がのこした言葉の群れのなかにわけいって、そのなかをさまよう途上で見つけた、珠玉や棒きれや落とし穴を、できる限り克明に記し、それぞれと出会った驚きを、読んでくれる方々とともにすることである。…
同じくあとがきで著者は、1980年代初頭、高校で「現代政治の思想と行動」にふれる講義を受けたといい(なんてこった!)、若い人に本書を読んで欲しいと記しているが、学生さんに是非読んでほしい一冊だ。年の初めに良い本に出会えて、幸先良し。
- 作者: 苅部直
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2006/05/19
- メディア: 新書
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