姜尚中の半生記。
民族、国民、国民国家なんてものを考えるとき、ともすると、民族=国民=国家と考えてしまうことがあるので、(アイヌというのもあるけれど)在日の存在は、グローバリゼーションの進む国際社会の中で日本が普通の国*1かどうかを観察する上で重要なのではないだろうかなどと思い。
…周りを見渡すと「落伍者」のような扱いを受けた「在日」の境遇が、大方の日本人にふりかかろうとしているのである。それは、大げさに言えば、日本国民の「在日」化と言えるかもしれない。
「在日」が、セーフティーネットなき時代を生きながら、やがて社会の中に埋め込まれ、中流のフツーの「住民」として生きていけるようになった時、逆に日本の平均的な国民が、あたかも「在日」のような境遇に近づきつつあるとは…。そのすれ違い、ねじれは、新たな問題を作り出しつつあるように思えてならない。
なぜなら、そうだからこそ、「在日」と「日本人」の境界を新たに目に見える形で作り直す力が働くようになったからだ。それは、多分にナショナリズムの気分を代表しており、「北朝鮮問題」に触発された「在日」バッシングの動きもそれと関連していると思える。
随分と久しぶりに本を読んだ。今年は例年の半分くらいしか読めそうにない。
- 作者: 姜尚中
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/01/18
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*1:カッコつきの普通の国ではなくて