後半の料理論というか、訓話というかがおもしろくないのは、その説教臭さというのもあるだろうが、やはりこういうのは、抽象的な話ではなくて、具体的にこんな料理、こんな食材が美味いという話が面白いのだな。それにしても農産物の生産技術の向上や、魚の養殖、食品の保存技術の向上、環境の変化などで、本書が描かれた戦前とは食をめぐる環境が激変していて、今魯山人が生きていたら、どんな料理を美味いというのか、としばし考えてしまう。
「くちこ」というのは知らなかったのでwebでちょっと調べてみたが、重さあたりの値段でいうと日本でもっとも高いものの一つではなかろうか。「生」は通常ルートでは流通していないらしい。
- 作者: 北大路魯山人,平野雅章
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1995/06
- メディア: 文庫
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