フジサンケイグループの初代総帥、戦後直後の財界四天王の一人水野成夫という人をモデルにした小説です。私自身はどこかで名前は聞いたかなというくらいの感じで、正直知らない人でした。本書によると、正力松太郎や渡辺恒雄などと比べても存在感のあるアクの強い人だったようです。時代が違うというのはありますが、平然と「家内が二人いる」といってのけるような女性に対する態度などにも違和感があります。
共産党員となったものの転向し、戦後財界の中枢で活躍するというのは、もちろんそのまま引きうつせる性質のものではないものの、ナベツネや筆者辻井喬の経歴を彷彿とさせるものがあります。人物像としてはなかなか面白い素材だと思うのですが、小説として面白いかと言うと、まあまあというのが感想です。
- 作者: 辻井喬
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/11
- メディア: 文庫
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