HONMEMO

読書備忘録です。

旅人/湯川秀樹

湯川秀樹博士って、どんな人だったのでしょう?
著者は、三高時代、多くの学生たちがバンカラ学生生活を謳歌する中で、エネルギーのほとんどを読書と思索に注ぎこんだことを、バランスの取れていない不調和な少年だったし、それを人間として立派なこととは思わないが、その不調和な、かたよった人間形成が早く一人前の物理学者になれた理由の一つだろう、と回想しています。また、研究生活に入ってからも、自己を省みて「一日中誰とも話をせず、専門の論文ばかりを読んでいることもまれではなかった。友だちから見れば、とっつきの悪い、不愉快な人間であったろうと思う。」と述べています。八方美人は大成しないものかもしれません…なんてつまらない教訓話ではなくて、氏の青春物語として興味深く読みました。
本書は、中間子理論を発表したところで終わっています。ノーベル賞受賞後は、「おわりに」でちらっと触れられているように、研究以外の雑用も増えて、著者としては不本意なことの多い日々だったのかもしれません。

旅人―湯川秀樹自伝 (角川文庫)

旅人―湯川秀樹自伝 (角川文庫)


105円@BO