表題作のほか、トカビの夜、妖精生物、摩訶不思議、送りん婆、凍蝶からなる直木賞受賞の短編集です。いずれの作品でも幽霊とか霊魂といった異界のものとの関わりが描かれるのですが、主人公はどの作品も子供であることもあって(子供時代を回想して描かれているので)、現実と不思議が違和感なく馴染んでいるように思います。
重松清による本書の解説から。
本書の懐かしさを静かに、しかし確かに支えているものは、古き良き時代への郷愁ではなく、むしろ逆―差別や偏見をも含む、時代に落ちた翳りなのではないか。
そんな、懐かしく、かなしく、ちょっと怖い物語でした。
- 作者: 朱川湊人
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/04/10
- メディア: 文庫
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