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読書備忘録です。

不幸な国の幸福論/加賀乙彦

今の日本は、公共事業を過剰に続け、社会福祉を切り捨てきた結果、「不幸増幅装置」になってしまっている。自殺者数も高水準になっている中で、幸福になるにはどうするのか。
幸福、生きがいは、期待するのではなく、生み出すものだ、ということで、卑近な言い方をすると、「気は持ちよう」みたいな話でもあります(そんな言い方をすると身も蓋もありませんが)。主体的にものを考えない、受動的な態度が、今の日本を作ってしまったし、不満ばかりを言い募り、幸福を感じられない人間を増やしているのではないか、ということでしょうか。
特別新しいことが書かれているわけではありませんが、至極まともな本だという印象です。
最終章は、ちょっとそれまでと毛色が違って、老いてからの幸福論、死生観がうかがわれ、これはこれで興味深いです。

不幸な国の幸福論 (集英社新書 522C)

不幸な国の幸福論 (集英社新書 522C)