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読書備忘録です。

春宵十話/岡潔

手元にないので確認できませんが、藤原正彦国家の品格」に影響を与えた書でしょう。はしがきの冒頭が、「人の中心は情緒である。」ですから。わたしは科学者の書くエッセイが好きですが、本書は思い込みが強すぎる感じに辟易してしまいました。以下若干引用。

  • いまの教育に対する不安を述べると、二十歳前後の若い人に、衝動を抑止する働きが欠けていることである。…衝動の強く働いている現状は、一般に大脳前頭葉の発育不良といえる。…もうしばらくすると、こんなのが日本人だということになりかねない。そこで教育の根本を変えてもらいたいが、…教育は徐々に変えなければ混乱が起る。だから、いまの世代については直しようがない。その世代が社会の中堅になったとき困らないように、年下でしっかりした世代を養成するほかない…
  • 教育の結果というものは顔つきに一番よく出るものであるが、そう思ってみると、いまの女性の顔は大変なスピードで変化している。人間の顔に動物性が大きく入りこんで来ているという感じである。…差し当たりこの女性の顔の変化をどうくいとめるのか、まさに未曾有の国難といってよい。

春宵十話 随筆集/数学者が綴る人生1 (光文社文庫)

春宵十話 随筆集/数学者が綴る人生1 (光文社文庫)