日本人は、主要先進国の中で「貧富の差が生まれたとしても多くの人は自由な市場でより良くなる」と考える人の割合も「自立できない非常に貧しい人たちの面倒をみるのは国の責任である」と考える人の割合も最も低い、すなわち「市場経済も嫌いだが、大きな政府による再配分も嫌い」という特殊な国だということです。日本人はそもそも市場経済で格差がつくこと自体が嫌いだということと考えられるのですが、これはかなり珍しいことなのですね。なるほど。
次に、格差とは(逆に言えば公平感とは)何だろうか、ということが様々なアンケートや研究をもとに提示されますが、「いろんな研究がされているんだなあ」という意味でなかなか面白いです。論旨はやや散漫な感じなのですけれど。
派遣切りの規制や最低賃金の引上げの問題点の指摘などそのとおりだと思いますが、一方、子供の数だけ親に投票権をというのは、趣旨は分からなくはないですけれど極論ですね。
なかなか興味深い本でした。
- 作者: 大竹文雄
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2010/03
- メディア: 新書
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