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読書備忘録です。

夏の闇/開高健

舞台はベルリン。輝ける闇ののち、いわば生ける屍のようになっている私と、10年ぶりに会ったやはり「廃墟」を抱えている「女」。パイク釣りでひょっとして新しい展望が開けるのかと思った矢先、やはりそうはならず、私はひとりヴェトナムへ向かおうとする…。カバー裏には、「現代人の<<魂の地獄と救済>>を描き」とありますが、救済について書かれるところはなく、あちらもこちらも、走っているのかとまっているのかもわからなくなったところで終わるのです。「明日の朝十時」ベトナムへ向かうことにしか救済はないのでしょうか。
輝ける闇を上回る名作との評価があるのも頷けます。

夏の闇 (新潮文庫)

夏の闇 (新潮文庫)