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読書備忘録です。

銀座復興他三篇/水上滝太郎

大震災を契機に復刊されたものだろう。著者水上滝太郎のことは全く知らなかった。
表題作は、関東大震災で焦土と化した銀座で真っ先にバラックで飲み屋を始めた親父をはじめ、店に集う酔っぱらい達を描いて、復興に取り組む人々に勇気を与えるだろう。「九月一日」、「遺産」も関東大震災をモチーフとしている。このうち、「遺産」は、高利貸しとして憎まれていた隣人との間の高い塀が震災で崩れたことを契機として、交流が始まるが、その結末は…というもので、O・ヘンリー的な面白さがある。「果樹」は、震災を背景とするものでもなく、この本の中ではちょっと違和感があるが、新婚の2人をほのぼの描いて、とてもいい。

銀座復興 他三篇 (岩波文庫)

銀座復興 他三篇 (岩波文庫)