花魁葛城の失踪の謎について、関係者が逐次語っていくという有吉佐和子「悪女について」のようなスタイルの小説。その語りは、淀みなく、落語を聞いているかのように楽しいものではあるけれど、「悪女について」のような、語り手によって対象の印象が大きく異なっているというようなことがあるわけでもなく、そういう意味では単線的で、また、新たな語り手によって、謎が一枚一枚明らかになっていくという感じでもない(結局、最後の方にキーマンが真実を語って終わりみたいな感じ。)。絢爛たる吉原の現代人に対する手引というだけで十分面白いとも言えるけれど。
直木賞受賞
- 作者: 松井今朝子
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2009/04
- メディア: 文庫
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