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読書備忘録です。

源平合戦の虚像を剥ぐ/川合康

歴史は、権力者となった勝者の側からの正統化という作用を免れず、客観的な歴史というものはありえない。治承・寿永の内乱(源平合戦)については、平家物語が大きな影響力を持ち、勝者源氏から見た歴史(平家物語史観)になっている。そもそも治承・寿永の内乱は、全国的な内乱であり、源平棟梁の争覇と捉えるのは誤り。頼朝の奥州討伐は、義経討伐というのは小さなエピソードに過ぎず、内乱期の御家人制を清算し、頼朝の下に再編・明確化するために全国的な動員をかけたものであり、また、頼朝が、頼義の正統的後継者であることを示すことを目的としていた。
このほか、この時代の戦争のさまざまな実証的研究がされていて、例えば、当時の馬はポニーのような小さいものだということを踏まえて様々な検証がなされている。これは、知識として知ってはいたのだけれど、具体的にはイメージしていなかったので、戦国武将たちが、ポニーにまたがって、「やあやあ我こそは…」とやっていたのかと思うと、イメージが狂う。

源平合戦の虚像を剥ぐ 治承・寿永内乱史研究 (講談社学術文庫)

源平合戦の虚像を剥ぐ 治承・寿永内乱史研究 (講談社学術文庫)