HONMEMO

読書備忘録です。

日本のデザイン/原研哉

デザインとは、…ものを介して暮らしや環境の本質を考える生活の思想でもある。

とする著者の思想を語るもの。

  • 日本の美意識の真ん中あたりにある「簡素さ」はシンプルというよりエンプティネスである。
  • 日本の美意識の核心は、繊細、丁寧、緻密、簡潔を旨とする。
  • 捨てることのみを「もったいない」と考えてはいけない。もったいないのは、捨てることではなく、廃棄を運命づけられた不毛なる生産が意図され、次々と実行に移されること。
  • 谷崎潤一郎が「陰翳礼賛」で語っているように、もし文明開化が技術のみの導入で、生活文化のかたちまで受け入れることをしなかったなら、日本はもう一つ別の維新を実現できていたのではないか、という呵責を抱いて、日本人は維新以後を生きてきた。その呵責の遍歴こそ、日本近代化の足跡であり、…
  • デザインは、商品の魅力をあおり立てる競いの文脈で語られることが多いが、本来は社会の中で共有される倫理的な側面を色濃く持っている。
  • 合理性だけでなく肌合いや感触を重視するのがアジアであり、自然と人工を対立するものとは考えない、ゆったりと鷹揚に世界を捉えていく感性がアジアにはある。

日本のデザイン――美意識がつくる未来 (岩波新書)

日本のデザイン――美意識がつくる未来 (岩波新書)