デザインとは、…ものを介して暮らしや環境の本質を考える生活の思想でもある。
とする著者の思想を語るもの。
- 日本の美意識の真ん中あたりにある「簡素さ」はシンプルというよりエンプティネスである。
- 日本の美意識の核心は、繊細、丁寧、緻密、簡潔を旨とする。
- 捨てることのみを「もったいない」と考えてはいけない。もったいないのは、捨てることではなく、廃棄を運命づけられた不毛なる生産が意図され、次々と実行に移されること。
- 谷崎潤一郎が「陰翳礼賛」で語っているように、もし文明開化が技術のみの導入で、生活文化のかたちまで受け入れることをしなかったなら、日本はもう一つ別の維新を実現できていたのではないか、という呵責を抱いて、日本人は維新以後を生きてきた。その呵責の遍歴こそ、日本近代化の足跡であり、…
- デザインは、商品の魅力をあおり立てる競いの文脈で語られることが多いが、本来は社会の中で共有される倫理的な側面を色濃く持っている。
- 合理性だけでなく肌合いや感触を重視するのがアジアであり、自然と人工を対立するものとは考えない、ゆったりと鷹揚に世界を捉えていく感性がアジアにはある。
- 作者: 原研哉
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2011/10/21
- メディア: 新書
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