HONMEMO

読書備忘録です。

蝶とヒットラー/久世光彦

鳥獣剥製店、義眼工房、地下軍装店、自鳴琴(オルゴール)博物館、昆虫博物館などをめぐるロマネスクなエッセイ。

<まどろみ>という言葉が好きである。…発条(ぜんまい)がいまにもほどけきろうとする時の、オルゴールの臨終(いまわ)の音、ためらいながら洩らす機械の吐息、あのもどかしい数秒間こそ<まどろみ>に似ている。
曖昧ではあるけれど、ここらあたりが境目かしら―だいたい美しいものはその辺にあるものだ。

そしてその美しいものとして引かれるのが、江戸川乱歩マラルメ、ディートリヒ、「愛の嵐」、ヴィスコンティなど。
辻邦生が選考委員のドゥマゴ文学賞を受賞。

蝶とヒットラー (ハルキ文庫)

蝶とヒットラー (ハルキ文庫)