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読書備忘録です。

地球最後の日のための種子/スーザン・ドウォーキン

 ジーン・バンクの発展に貢献した植物学者ベント・スコウマンの伝記。伝記というより、遺伝資源をめぐる保護と利用の相克をめぐる世界的なダイナミックな動きを追ったノンフィクション。
 スコウマンは、よく「種子が消えれば食べ物が消える。そして君も。」と言い、遺伝資源の保存に献身的に取り組むとともに、一貫して「誰もがアクセスできる遺伝情報」を主張し、特許による私有を図る企業と対立したという。農業は、生物の多様性を強めようとする自然の力と集約的な(モノカルチャー化する)生産システムの下での生産の必要性とのせめぎ合いであり、病虫害の蔓延リスクに備えるためにも、ジーンバンクが不可欠ということだ。
 スコウマンは、ノーマン・ボーローグのCIMMYTの小麦ジーンバンクに参画したのち、ノルディック遺伝資源センター(ノルドゲン)の所長を務める。ノルドゲンは、極北のスヴァールバル諸島の永久凍土の中に築かれた地球最後の日のための貯蔵庫と呼ばれるスヴァールバル世界種子貯蔵庫の管理主体。

地球最後の日のための種子

地球最後の日のための種子