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読書備忘録です。

ふしぎなキリスト教/橋爪大三郎、大澤真幸

 近代、西洋のアイデンティティを基礎付けるキリスト教とは何かについての宗教学者、社会学者の対談。対談って散漫になりがちであまり好きでないのだが、本書は、編集がしっかりしているのか、まとまりがある。
論点は幅広いのだけれど、一点だけメモ。
 どうして救済予定説が資本主義の精神への動因となったのか。救済予定説は、救済が人間の行動に左右されないという説であるから、人々が勤勉にならない気がするが、救済予定説を信じたピューリタンは勤勉になった。これはなぜか。

 地上の自分の利益を考えて行動すると、自堕落に暮らすことが支配戦略となる。そういう状況で、もしも勤勉に働いている人がいたら、それは神の恩寵によってそうなっているのです。勤勉に働くことは、神の命じた隣人愛の実践である。この状況で、勤勉なことは、神の恩寵のあらわれです。となると、自分が神の恩寵を受けていると確信したければ勤勉に働くしかない。

アクロバティックな。

ふしぎなキリスト教 (講談社現代新書)

ふしぎなキリスト教 (講談社現代新書)