第一次世界大戦で明らかになった「総力戦」、昭和の軍人は、「持たざる国」がいかにして「持てる国」と戦争をするかを考える。
- 小畑敏四郎(皇道派) 持たざる国は、短期間で敵を包囲殲滅するしかない。しかし、この戦略は、相手が素質劣等の場合のみを想定するもの(ただし、表立ってはそうは言えない)だった。
- 永田鉄山(統制派) 国家総動員で「持てる国」の体裁を整えよう。しかし現実的には持てる国へと簡単に化けられないので、精神主義にたよる。
- 石原莞爾 数十年をかけて持てる国となった上で、雌雄を決する戦争をするべき。
- 中柴末純 持たざる国は物資が足りない。これを補うのは精神力であり(ここまでは皇道派と同じ)、精神力で持てる国にも勝てる。(←どんどん死んでみせることによって、相手を怖気づかせる。)
- 東条英機 もともと思想は不徹底。(政治の指導と作戦の指導が制度的に分裂している明治憲法体制の下で、総力戦を戦うには一人何役もやるしかないという苦渋の選択だった。)
- 作者: 片山杜秀
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/05/25
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