1945年3月から46年末までの上海での生活を57年の再訪を機に振り返るエッセイ。
あの時(8月15日)天皇はなんと挨拶したか。負けたとも降伏したとも言わぬというのもそもそも不審であったが、これらの協力者に対して、遺憾ノ意ヲ表セサルヲ得スという、この嫌味な二重否定、それっきりであった。その余は、おれが、おれが、おれの忠良なる臣民が、それが可愛い、というだけのことである。その薄情さ加減、エゴイズム、それが若い私の軀にこたえた。
この部分だけ引用しておくのも変なのだけれど。
解説は大江健三郎
- 作者: 堀田善衞
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