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読書備忘録です。

五色の虹/三浦英之

満州建国大学は、五族協和を唱える満州国のエリートを養成するために設立され、日本、中国、朝鮮、モンゴル、ロシア各民族から選抜された優秀な人材が、寮生活をしながら、自由闊達な議論を繰り広げたという。その卒業生たちに対するインタビューなどを通じて、建国大学の実像や卒業生のその後の人生を追っていく。しかし、資料が乏しい上に、多くの卒業生が鬼籍に入り、また高齢化するなどしているなどの限界もあって、もっと深掘りをしてほしいという欲求不満の残るものになっている。やむを得ないといえば、そうなのだろうが。

満州国研究の山室教授が「意図と結果。それを丁寧にたどっていかないと、満州をめぐる一連の問題は決して捉えることができない」というのは、全くそのとおりなのだろうと思う。

 

五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後 (集英社文庫)

五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後 (集英社文庫)